今回、動脈硬化学会から「コレステロール摂取量に関する声明」としてあらためてコレステロール摂取と血中コレステロール値とは関係が薄いことが公表されました。
<高コレステロール血症について>
体内で合成しているコレステロールが8割に対して食事から摂取するコレステロールは2割とされていますので、ほとんどのひとでは厳密にコレステロール除去した食事を食べた場合でも、血液コレステロール値はわずかしか低下しません。しかし、数%の人では食事からのコレステロール吸収率が高いため、食事中のコレステロール量が多いと血中コレステロール値が高くなってしまう方があります。 コレステロールの吸収率が高い体質かどうかを調べるには研究用の特殊な検査が必要ですので、実地診療ではまずできるだけコレステロール制限食にしてみて血中コレステロール値が低下するかどうかを判定します。 コレステロール制限食にしてみて血中コレステロール値が低下した場合は、食事からのコレステロール吸収率が高い体質ですので、できるだけコレステロールの多い食事を避けておくのがよいでしょう。
それでは、コレステロール制限食で血中コレステロール値が低下しない場合や低下が不十分な場合はどうすればよいのでしょうか。
体内でのコレステロール合成は食事摂取カロリー量が多いほど増加するので、もし太りすぎているなら食事の量(=摂取カロリー)を減らすことが重要です。体重減少しても血中コレステロール値が低下しない場合や太り過ぎでない場合は動脈硬化のリスクに応じてお薬を服用するかどうかを検討する必要があります。
<高中性脂肪血症について>
高脂血症の中でも高中性脂肪血症はコレステロールよりさらに食事摂取カロリーの影響をうけやすいため同様に摂取カロリー制限が重要です。
どのタイプの高脂血症でも、食品の種類だけでなく摂取カロリーを意識してください。