高血圧をはじめとする生活習慣病の治療のために、減塩を指示される人が増えています。その際、だしやうま味を活用すると言われますが、そもそも旨味とはどんな味なのでしょうか。
「うま味」は、5つの基本味(甘味・酸味・塩味・苦味・うま味)の一つで、料理のおいしさを生む大切な役割を果たしています
甘味・酸味・塩味・苦味・うま味という5つの基本味は、どれも他の味を混ぜても作れない独特の味です。甘味や酸味、塩味・苦味は、どんな味か簡単に想像できますが、うま味はどうでしょうか? 一番わかりやすいのは昆布だしの味と言えます。そしてこの昆布だしの味を生みだしている正体が、グルタミン酸なのです
うま味物質として知られているものにグルタミン酸だけでなく、イノシン酸、グアニル酸などが挙げられます。グルタミン酸はたんぱく質を構成する20種類のアミノ酸の中の一つで、イノシン酸、グアニル酸は核酸に分類されます。
これらのうま味物質はさまざまな食品に含まれています。グルタミン酸は昆布や野菜などに、イノシン酸は魚や肉類に、グアニル酸はきのこ類に多く含まれています。
うま味物質は単独で使うよりも、アミノ酸であるグルタミン酸と核酸系うま味物質(イノシン酸やグアニル酸)を組み合わせることで、うま味が格段に強くなることが知られています。このような「相乗効果」には、和食ではたとえばこんぶ(グルタミン酸)+かつおぶし(イノシン酸)の一番だし、洋食では、セロリ・タマネギ・にんじん(グルタミン酸)+肉(イノシン酸)、中華では、長ネギ・しょうが(グルタミン酸)+鶏・ホタテ貝柱(イノシン酸)があります。
日常の食卓でも、料理に旨味が含まれるよう意識したり、相乗効果を利用できれば、塩分控えめでもおいしい料理が作りやすくなるのではないでしょうか。
しかし、きちんとだしをとって料理すればおいしく減塩できるとわかっていても、だしをとるのが面倒と思う方も多いと思います。そこでだしを使わなくてもおいしい献立を紹介します。
(うまみを活かした献立例)
たきこみごはんの具・・・ごぼう(グルタミン酸)+鶏肉(イノシン酸)+油揚げ(グルタミン酸)
+しいたけ(グアニル酸)
肉じゃが・・・牛肉(イノシン酸)+じゃがいも・にんじん・たまねぎ(グルタミン酸)
魚の煮つけ・・・魚(イノシン酸)+ごぼう・ねぎ(グルタミン酸)
肉野菜炒め・・・豚・牛肉(イノシン酸)+キャベツ・ブロッコリー(グルタミン酸)+にんにく(グルタミン酸)
また、のり、ねぎ、しょうが(グルタミン酸)やかつおぶし、干しエビ(イノシン酸)はちょっと味が足りない時のお助けアイテムです。うまみ食材としてぜひ常備&活用してみてください。
(事務・栄養士 諏佐)