"メタボ"、気にしている方も多いと思います。単純に体型の問題だけでなく、体重過多のため脚への負担が高くなり膝をいためてしまったり、動作が緩慢になり運動がおっくうになるため筋力が低下したり、体重増加に拍車がかかるのもよくお見かけします。厳密にはメタボリックシンドロームとは肥満のあるなしにかかわらず、血管の動脈硬化に関連する高血圧、糖尿病、高脂血症、脳卒中が複数合併している状態のことを指していますが、今回は"メタボ"=肥満として解説します。
"メタボ"が体にわるいとの喧伝は、動脈硬化性疾患(脳梗塞や心筋梗塞など)だけでなく癌さえも発症しやすくなるというデータが根拠になっています。 しかし、明らかに肥満なのに高血圧、糖尿病、高脂血症、脂肪肝などを合併していない方も(少ないのですが)おられます。これまでの研究では合併症のない肥満症はかならずしも動脈硬化の進行は速くないことが知られています。すなわち、"メタボ"そのものが問題なのではなく"メタボ"に付随して起こってくる高血圧、糖尿病、高脂血症がいろいろなトラブルを起こすのです。つまるところ特定健診や定期健康診断などをきっかけとして高血圧、糖尿病、高脂血症をきちんと診断し治療する事こそが将来の心臓病、脳卒中を含めた血管疾患の予防にもっとも大切だということです。
実際に肥満の方をよくよく調べてみると何らかの併発症や合併症を持っていることが多いので、生活改善をするところはご自分で頑張ってやり、それだけでは不十分ならお薬での治療をしたほうがよいでしょう。
当院では、様々な循環器疾患の予防や治療の一環として、丁寧な問診にもとづいて、最も重要な高血圧、糖尿病、高脂血症、脂肪肝、狭心症、頸動脈硬化症、下肢閉塞性動脈硬化症などの併発症や合併症をきちんと診断した後、病状に応じて食事指導、運動指導や薬物治療を行います。併発症や合併症が全くない場合には、主に生活指導を行います。"メタボ"が気になる方はぜひ一度ご相談ください。